今更ながらに『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を観た。ブラッド・ピットもトム・クルーズも若いなぁ、って当然か。これ1994年の作品だもんね。
映画はブラッド・ピット演じるルイが、インタビュアーに「私はヴァンパイアだ」と告白することから始まる。ルイ曰く、彼は200年前のある日、レスタトと名乗るヴァンパイアによって人間からヴァンパイアに生まれ変わったのだ。
で、これがスプラッター映画ならば、ヴァンパイアになったルイとレスタトは手に手を取って、仲良く人類皆殺しの旅に出ちゃうのでしょうけど、別段そういう方向性の作品じゃないので、ヴァンパイアになってしまったもののまだ良心の色濃く残るルイは人間を襲う踏ん切りがつかずに悩む方向へ。……まぁ、吸血鬼モノの定番ですよねー。『ダレン・シャン』だとそれで丸々2巻を使い切ったよなぁ。
人間を殺せないルイと、容易に人を殺して何の良心の呵責も感じないレスタトの摩擦は大きくなるばかり。ルイの空腹感はいや増し、死んだ母親にすがりつくクローディアを襲ってしまう。それを喜んだレスタトは彼女をヴァンパイアにするのだが、それが破綻の始まりになった……、と。
以下、ネタバレ注意。
クローディアを可愛がるルイとレスタトは良いね。3人での生活はコミカルで誰も彼も楽しそうだ。人間バンバン死んでるけど。幸せは儚いと言われる通り、この映画でもクローディアが自身の境遇に不満を覚えたことから楽しい生活はアッサリと終わりを迎えてしまう。
彼女の復讐譚がこの映画のメインみたいに説明されているのをよく見るが、実際はそんなに重要じゃないように思う。まぁ起承転結の「転」ではあるんだろうけれど。
物語を貫くのは「ヴァンパイアになりきれないヴァンパイア」であるルイ。自身の存在を問い、神や悪魔、善悪に捕われて抜け出せない人間よりも人間らしい彼は悩み続ける。パリで出会った新たなヴァンパイアであるアーマンドも彼に答えを与えてはくれなかった。
「空虚」。200年を生きた彼がインタビュアーに語ったのは、結局はその言葉だけ。「僕は空虚だ」
……かったりぃ。かったるいのよ、ルイ。「空虚だ」なんて呟きながら、それでも生きていくために嫌々ながら人間を殺し続けるくらいなら、I can flyしちまえよ!と思っちゃう。まぁ、レスタトのしぶとさを見るに、そうそう死ねないみたいだけど(その割にパリの奴らはあっさり死んだな)。演じるブラピが美しいから、そこまで反感感じないけどさー。
んまぁ、そういう人間くささが身も心もヴァンパイアになってしまったレスタトやアーマンドを惹き付けているんだとは思う。でも『ダレン・シャン』のダレンのように、いつか自分の中での落としどころを見つけるのかなーと期待して見てたのに、「惰性で生きてます」なんて言われてガッカリしちゃった。
ダレンとは違って「地獄とは」なんて言い出した時点で、これどうやって落とすんだろ、重すぎないか?と疑問に思ってたから、うん、まぁ、予想通りと申しますか。実際の所、そんだけ大きなこと語っておいて、あっさりルイに答え出されてもそれはそれで嫌なんだけどね。
で、どうやってこの映画締めるんだろう、このまま「ルイは今日も悩み続けています」でフェードアウトしたらどうしよう、と不安に思ってたところで、インタビュアーが逆切れ。疾走する赤いオープンカー。そしてまさかのレスタト再々登場。
れ、レスタトが最後全部持っていったぁぁぁぁぁ!!
ルイの苦悩とかクローディアの歎きとか、全部どっか行った! びっくりしたぁ。でも、あー、もうココしか落としどころないよーな気も。
なんだか結局、「悩むだけ無駄」みたいな、最大のピンチにピッチャー代わりましてピッチングマシーンみたいな。あぁ、でもルイの悩みっぷりにダレてた私としては全然アリです。笑っちゃったよ。っつーか、アンタ、さっきまで死にかけてませんでしたっけ? もう何でもいーや。あっはっはっは。
でも、あんだけ悩み倒していたルイが不憫すぎて、笑いが乾くわ。彼の今後の人生に幸あれ。あ、でも血を吸われるのは嫌です。意外と痛そうだったし。