
結局買っちゃった。『
世界幻想文学大系〈第19巻〉サラゴサ手稿』。
翻訳者は工藤幸雄。
絶版の上に中古のお値段もそれなりにするので、図書館で借りて済ませようと思ったのだけれど、いやいやいや、コレ面白いわ。評判の良さにも納得。
おかげさまでどうしても欲しくなってしまったのでした。
私が図書館で借りた本は本本体しかなかったけれど、この世界幻想文学大系シリーズは、函+函カバー+本+本の透明カバー+月報がセットになっているんですね。
月報ってのは、蛇腹状に折られた一枚の色画用紙に印刷された解説みたいなものです。『
世界幻想文学大系〈第19巻〉サラゴサ手稿』の場合、翻訳者の工藤氏のポトツキに関する解説が巻末に収められていますが、それとは別に篠田知和基氏の「『サラゴサ手稿』の幻想」、三好郁朗氏の「『サラゴサ手稿』とトドロフ」、斉藤博士氏の「夢のボルヘス」が月報に載っております。表の最初の二氏のは『サラゴサ手稿』の解説だけれど、裏に印刷されている「夢のボルヘス」は幻想小説論なのかも。
意外な豪華さが気に入ったので、地道に世界幻想文学大系シリーズを収集することとしました。絶版だけど。
嵩張るっちゅーねん、と私の理性が悲鳴を上げるのは無視です無視。
今のところ入手したのは以下。数字は巻数。
3『
ウィーランド』/14『万霊節の夜』/19『
サラゴサ手稿』/22『
ファンタステス』
『
ウィーランド』はどうして函カバー裏で壮絶なネタバレを書いてしまったのか問い詰めたい。冒頭の「告」を読んで、「この語り手に降りかかった不幸とは何ぞや?」とワクワクした私の気持ちを返して頂きたいのですけども。テンション下がるわ。
『万霊節の夜』がAmazonで見つからないのは何でだ。古書価格も高くないし、そんな希少書だとも思えないのだけど。
『
ファンタステス』は
ちくま文庫
からも出てるし、そっちの方が安いんですけどねー。あえてハードカバーの世界幻想文学大系の方を。
しかし、同じ作者で同じちくま文庫の『
リリス
』は今でも本屋で買えるのに、『
ファンタステス―成年男女のための妖精物語
』は出版社ですら在庫ないのね。ちょっと寂しいなぁ。
世界幻想文学大系シリーズとは別に、もう1冊購入。『
現代フランス幻想小説』。
以前に読んだ『
現代東欧幻想小説』が面白くてですね、本当はこのまま東欧の作家の本に移るつもりだったのですが、何気なくタイトルでGoogle検索したら
幻想文学館さんの
白水社の現代幻想小説シリーズページに辿り着きまして、そこに掲載されている書影に「なにこれカッコ良い!」と叫んだのが契機です。
これもシリーズで集めちゃうぞ!と張り切って、手始めに一番古書価格が低かった『
現代フランス幻想小説』を買ったんです……。
その書影が下。

私が持っている『
現代東欧幻想小説』の書影がコレ。

全然違うやん! 国毎で色違い同デザインの表紙だって聞いたのに。
最初に私が考えたのは、「同じタイトルの違う本を買ったのかも」ってことです。同姓同名の別人みたいな。
でも出版社は共に白水社なのですよ。もしや同じ出版社から同じタイトルの本が2冊出てたの?とも思ったのですが(時代的にまだISBNはない)、収録作品が同じ。つまりたぶん間違ってない。私が買いたかった『
現代フランス幻想小説』はきっとコレ。
でもなんでこんなに表紙が違うの?との疑問を解消すべく奥付を見てみると、東欧の方は1971年発売で記載はないけれど、たぶん初版。定価900円。フランスは1970年発売、1983年の第7刷、定価は2000円。
……どうも途中で定価を変えるのに合わせて、表紙も変えたみたいですね。何コレ私涙目。マジ涙目。
ちなみに表紙だけでなく装丁がまるっと変わってます。表紙を外した状態で、2冊を並べて背を撮ったのが下。

黒から白になっちゃったよ。あー。
ネットで買ったが故の悲劇だよなぁ、コレ。しかも売り手側には何の瑕疵もないし。1983年の本にしては中身超綺麗だし。
でも凹む……。まさか途中で表紙が変わってただなんて、そんなの想像すらしなかったのよ。あーあ。私の野望がまさかの形で終了。
表紙が変わったのって何刷からなのかなぁ。それが分からないと、同シリーズの他の本をネットで買えない。
